小規模事業者持続化補助金の最新情報
先日、2020年5月22日(金)に第1回締切分の採択者発表と、新たな募集開始が発表されました。
小規模事業者持続化補助金の情報にかなりの動きがありましたので、最新情報を整理したいと思います。
文中にも書いてますが、ホームページ制作をネットショップ(買い物カゴ、決済機能の付加)機能付きにすることで<コロナ特別対応型>のメリットである、補助金上限アップと、先行着手の特例を受けるのが熱いと感じてます。
概要
「小規模事業者持続化補助金」は、「小規模事業者」が「販路開拓」する取組に補助金がでる制度で、かなり幅広い経費を対象にできる使い勝手のいい補助金です。現在は<一般型>と<コロナ特別対応型>があります。
制度概要については弊社の2020年5月1日のブログにも詳しく書いてますので合わせて参照ください。
https://www.yamazaki-consul.com/2020/05/01/blog-2/
<一般型>のスケジュールは以下です。
・第1回締切:2020年 3月31日(修了)
・第2回締切:2020年 6月 5日(募集中)
・第3回締切:2020年10月 2日
・第4回締切:2021年 2月 5日
<コロナ特別対応型>のスケジュールは以下です。
・第1回締切:2020年 5月15日(終了)
・第2回締切:2020年 6月 5日(募集中)
・第3回締切:2020年 8月 7日 new
・第4回締切:2020年10月 2日 new
注目はコロナ特別対応型の第3回締切ですね。
従来まで発表されていたスケジュールだと6月5日締切の次が10月2日締切でちょっと間が空くと思っていたので、この中間に8月7日締切が新設されたのは申請者からすると選択肢が増えて使いやすくなりました。
なおどちらも申請にあたっては管轄の商工会/商工会議所に「事業支援計画書」というのを作って頂いて一緒に添付する必要があります。
したがって締切ぎりぎりに申請書完成では間に合わないので、一週間くらいの余裕を持って完成させてから、商工会/商工会議所に依頼します。商工会/商工会議所の会員でなくても対応して頂けます。
2つの制度の違い
<コロナ特別対応型>はコロナの影響を乗り越えるための前向きな投資を行う事業者を支援するために新たに設けられた制度で、以下の条件に当てはまると<コロナ特別対応型>の方に応募ができます。
※応募の時点で<一般型>か<コロナ特別対応型>かを明記して応募します。書式も若干違います。
<コロナ特別対応型>に応募できる条件は、補助対象経費の6分の1以上が以下の要件に合致する投資であることです。
ABCの3つがありますが、単一でなくても複数の合算でもOKです。
A:サプライチェーンの毀損への対応
(顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行うこと)
B:非対面型ビジネスモデルへの転換
(非対面・遠隔でサービスを提供するビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと)
C:テレワーク環境の整備
(従業員がテレワークを実践できるような環境を整備すること)
基本的に「小規模事業者持続化補助金」の代表的な使い方として、ホームページ制作費を対象に申請して補助金を獲得するというのがよくあります。それでいうと、普通の商品サービス紹介のホームページ制作なら<一般型>、ホームページにネットショップ(買い物カゴ、決済機能の付加)の機能までつけた形なら<コロナ特別対応型>と考えればよいでしょう。
コロナ特別対応型の場合は以下のメリットがあります。
①補助金の上限 | <一般型>だと基本的に最大50万円ですが、<コロナ特別対応型>だと100万円にあがります。 また、<一般型><コロナ特別対応型>ともに2020年5月22日に公表された最新の募集要項では最大50万円の事業再開枠が付くことになりました。事業再開枠は後述します。 |
②補助率の上昇 | 通常は<一般型><コロナ特別対応型>ともに補助率は3分の2ですが、2020年5月22日に公表された最新の募集要項では、<コロナ特別対応型>で B、C に該当する場合は補助率が4分3にあがることになりました。補助金上限は一緒ですが、従来より少ない補助対象経費総額でも上限の補助金がもらえますね。 |
③発注、支払の日付 | <一般型>だと補助金の審査で採択された後でないと発注や支払ができませんが、<コロナ特別対応型>は訴求適用が認められていて、採択前に先行で発注をしても大丈夫です。これはかなり大きなメリットですね。2020年2月18日以降に発生した経費はOKです。 |
④補助金前払い | <一般型>は補助金を受け取れるのがかなり後ですが、<コロナ特別対応型>は一定の条件を満たせば「概算払い」という制度で半額を前払請求ができます。 |
①と②を具体的な例でいうと、例えばホームページ制作を<一般型>で補助金申請する場合は、75万円の制作費用のうちの3分2の50万円を補助金でもらうというのが最大でした。これをネットショップ(買い物カゴ、決済機能の付加)の機能までつけたホームページ制作で<コロナ特別対応型>の B類型で申請すると、補助率は4分の3になります。補助金の上限は100万円ですから、以下が最も効率のいい申請の仕方になりますね。
・134万円の制作費用のうち、4分の3の100万円を補助金で受け取る。
しかも③に記載の通り先行着手も可能ですから、採択発表を待たずに制作依頼して早期に事業効果を得ることができます。
(補助金が採択されるかどうか不確定なまま発注するというリスクはありますが)
ただし2点注意点があります。
1つは「相見積の取得」です。もともと通常パターンでも、交付申請のときに以下の注意書きがあります。
これは先行着手での遡及適用でも同じはずなので、相見積を取得しておきましょう。
1件あたり100 万円超(税込)を要するものについては、2社以上から見積を取り、より安価な発注先(委託先)を選んでください。
ただし、事業内容の性質上、見積もりを取ることが困難な場合は、該当企業等を随意契約の対象とする理由書(選定理由書など)を実績報告時にご提出ください。
【補助事業の手引き(令和2年度第1回締切分)の2ページ目より引用】
もう1つは「収益納付」の規定です。これは長くなるので次に書きます。
「収益納付」とは
収益納付という規定があって、これに該当すると事後で補助金が減額されてしまいます。
ちょっと長いですが、以下に引用します。
【参考6】収益納付について
【公募要領より引用】
「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」等の規定により、補助事業(補助金の交付を受けて行う事業)の結果により収益(収入から経費を引いた額)が生じた場合には、補助金交付額を限度として収益金の一部または全部に相当する額を国庫へ返納していただく場合があります(これを「収益納付」と言います)。
本補助金については、事業完了時までに直接生じた収益金について、補助金交付時に、交付すべき金額から相当分を減額して交付する取扱いとなります。
なお、ここで言う「補助金により直接生じた収益」は、以下のようなケースを想定しています。
<補助金により直接収益が生じる(⇒交付すべき補助金から減額する)ケースの例>
(1)補助金を使って購入した設備で生産した商品の販売・サービスの提供による利益(機械装置等費等が補助対象の場合)
(2)補助金を使って構築した自社のネットショップ(買い物カゴ、決済機能の付加)の活用での販売や、他社の運営するインターネットショッピングモールでの販売による利益(広報費が補助対象の場合)
(3)補助金を使って実施または参加する展示販売会での販売による利益(展示会等出展費等が補助対象の場合)
(4)補助金を使って開発した商品の販売による利益(開発費等が補助対象の場合)
(5)販売促進のための商品PRセミナーを有料で開催する場合に、参加者から徴収する参加費収入(借料等が補助対象の場合)
要するに補助金を使った事業で利益を出したら、その利益を補助金から減額してくださいという規定です。
普通のホームページとか広告出稿とかの場合は、売上との因果関係が間接的で不明確なのでこれには当たらないです。したがって通常はあまり気にしなくていい規定です。
ただネットショップの場合は上記の(2)にもろに当てはまってしまいます。
といっても、あくまで事業完了時までに直接生じた収益が対象です。
事業完了というのは、事後で「事業報告書」を提出する必要があるのですが、そこに記載する事業完了日のことです。
この事業完了日は事業者が自由に決めていい日付です。
全体としての締切はあります。たとえば令和2年度のコロナ特別対応型の第2回締切の場合は2021年3月31日です。
この締切より手前であれば自由に決めて大丈夫です。
なお、補助金申請時に事業完了予定日を書く欄があるのですが、この予定日と一致しなくても予定日より前でも後でもどっちでも大丈夫です。全体の締切より前なら。これは公式ホームページの【補助事業の実施・実績報告等に係るよくあるご質問】の Q2-1 に書いてあるので間違いないです。
したがって、ホームページ制作が完了しだい、本格的な収益があがる前に事業完了扱いにして「事業報告書」を出してしまえば収益納付の減額はありません。(収益が0でも収益納付の報告書の作成提出は必要です)
一応、収益納付の計算式を簡単に書くと、
「ネットショップの収入(売上)」-「その売上原価」-「補助事業経費の自己負担分(補助金以外)」
で算出することになっています。
たとえば収入(売上)が50万円、売上原価が30万円なら差し引きの収益は20万円ですが、
これに補助事業全体で134万円の経費で補助金100万円ならこの自己負担分の34万円を控除していいので、
収益納付は0円で大丈夫です。
このようにちょっとくらいなら売上があがっても大丈夫なのでそんなに心配いらないでしょう。
ただしホームページ制作一本でなくて複数の経費で申請する場合は少し注意が必要です。
すべての支出が支払まで完了しないと事業完了にできないので、その間にホームページ制作完了してネットショップの収益が発生するということがあるかもしれません。
収益納付を避けたい場合はタイミングに注意してください。
感染拡大防止の取組(事業再開枠)
また今回の2020年5月22日の発表では新たに、「事業再開枠」が創設されました。
対象は小規模事業者持続化補助金の<一般型>と<コロナ特別対応型>の両方、およびものづくり補助金の<コロナ特別枠>です。
ガイドラインに沿った感染防止対策の投資に対して、新たに定額補助・補助上限50万円の別枠を上乗せする制度です。
例えば小規模事業者持続化補助金の<コロナ特別対応型>の上限100万円に、さらに別枠で50万円上乗せすると、合計で150万円の補助金がもらえます。
対象経費は消毒、マスク、清掃、間仕切り、換気設備など感染防止対策経費です。
ただあんまり小物だと実績報告書作成が煩雑になるので、できるだけ大物の経費で申請したいところです。
「事業再開枠」というネーミングはなんか微妙ですね。いったん事業停止していた事業者の再開というニュアンスを受けますが、別にそういうわけではなく誰でも申請していいようです。
この申請は、いまのところは小規模事業者持続化補助金の申請書とは別枠で別途申請を出すことになっているようです。
私の方でも手引きを一通り読んだのですが今一つ分かりにくくて、まだ全貌が把握しきれていません。
把握できしだいまた何らかの形で発信したいと思います。
採択率について
この小規模事業者持続化補助金は、申請すれば無条件でもらえるものではなく、公募期間内に申請した後に事務局で審査されて、そこで採択される必要があります。
採択率は年によって違いますが、一昨年は67%、去年は約90%でした。
そして今年度の<一般型>第1回締切(2020年3月31日締切)について、採択結果が先日発表されました。
応募8,044件中、7,308件が採択ということでした。
採択率でいうと 90.85%で去年と同じくらいですね。
実は弊社も自身の取組で申請していたのですが無事採択でした。ま余裕でしたね。
採択率を見る限りは、よほどの書類不備や記載不備がない限り通るという感じでしょうか?
ただすべて商工会/商工会議所の確認をうけてから申請するものなので、そんなに変な不備はないと思うのですが。
逆に不採択になった申請書を、今後の参考のためにぜひ見てみたいものです。
申請書の書き方のポイントは弊社の2020年5月1日のブログにも詳しく書いたので見てください。
https://www.yamazaki-consul.com/2020/05/01/blog-2/
まとめ
昨今のコロナ禍に対する事業者の支援という意味合いもあって、最近の補助金の新設や制度変更はめまぐるしいです。
私もしっかり把握して事業者のお役に立てるようにしたいと思います。
弊社の小規模事業者持続化補助金の申請支援サービスについては、直近の6月5日締切分はもう締め切らせて頂きましたが、その後の回であればお受けすることが可能です。問い合わせは以下にお願いします。
お気軽にお問い合わせください。
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