新創業融資について①
今日のブログは「新創業融資」についてお伝えします。
新型コロナウイルスの影響も、徐々にですが正常に戻りつつありますね。
また、テレワークの普及など企業の働き方が大きく変わり、個人ごとの成果の出し方や変化対応力の巧拙が目立ってきているように感じます。
人によっては、というかむしろ優秀な社員ほど、会社の対応に疑問や不信感を抱いたり会社の枠から飛び出して独立起業を志す、という人も出てきているのではないでしょうか?
こんな変化の激しい時期ほど、小回りのいい小規模事業者の方が柔軟にビジネスチャンスを捉えやすいです。
優秀な創業者にとってはチャンスといえるかもしれません。
そんな創業期の資金調達として有力な「新創業融資」について書いてみます。
「新創業融資」とは?
日本政策金融公庫の融資制度で、創業者や創業後まもない人向けに無担保・無保証人で貸し出ししてくれるものです。
通常の民間金融機関では難しいですが、日本政策金融公庫は財務省管轄の特殊法人なので政策的に創業者を応援してくれます。
創業前や創業直後で銀行からお金を借りるには、この日本政策金融公庫の「新創業融資」か、自治体(市区町村、都道府県)の制度融資の2択くらいでしょう。
(自治体の制度融資についてはまた別の機会に取り上げます)
「新創業融資」を利用できる人は、これから事業を始める人、または税務申告を2期終えてない人です。
他にもいくつか条件がありますがここでは省略します。
制度上は最大3,000万円まで借入できますが、1,000万円を超えると支店決裁でなく本部決裁で審査が長く厳しくなると言われており、実質的には1,000万円を上限と考えておいた方がいいでしょう。
実は弊社でも今年の頭に自ら「新創業融資」を申し込んで借りてみました。
そのときのことを思い出しながら書いてみます。
弊社で借りたときの流れと必要書類
①2020年1月6日(月)
あらかじめ借入申込書と創業計画書を作り、日本政策金融公庫の浦和支店に訪問。
窓口で書類をチェックしてもらう。
2点ほど指摘を受け、その場では提出せずに持ち帰る。
②2020年1月10日(金)
創業計画書の修正を終え、書類一式を郵送で送付した。
書類は以下。
・借入申込書(所定の用紙に手書きで記入)
・創業計画書(公庫のHPからダウンロードしたエクセルに入力して印刷)
・月別収支(同上)
③2020年1月17日(金)
公庫の方から電話を頂き、1月21日(火)の面談を打診されたが、その日は私が都合悪いのでその電話で話し合って1月29日(水)に面談することに決定した。
面談時に持参する資料を電話で説明されたが長すぎて覚えられなかった。
翌日、同じ内容の書類が届いたので、それを見ながら準備した。
求められた資料と、それに対して私が用意した内容は以下の通り。
・直近期の月別売上高の分かる資料
(⇒月別のPLとBSを用意した)
・今後の売上見込が分かる資料
(⇒エクセルで簡単な一覧表を作った。注文書受領済の分はそのコピーをつけた)
・法人および代表個人の預金通帳すべて
(⇒ネットバンク系はプリントアウトして、普通の銀行は通帳を持って行った)
・法人の法人税、事業税、消費税の領収書
(⇒タイミング的にまだ該当なしだったので不要ということになった)
・公共料金の領収書
(⇒ほとんど捨てちゃってたのであまりなかったが、通帳の引き落とし履歴を見せたら納得してもらえた)
・法人の借入がある場合は支払明細表など内容が分かるもの
(⇒当社は先に制度融資を借りていたのでその支払明細表のコピーを持参した)
・代表者個人で借入がある場合は支払明細表など内容が分かるもの
(⇒該当なし(住宅ローンも完済済み)と説明して納得してもらえた)
・固定資産税の通知書と領収書
(⇒個人の住宅分があったのでそのコピーを持参した)
・営業許可書または資格証明書
(⇒中小企業診断士の資格証のコピーを持参した)
・運転免許書
(⇒コピーを持参した。現物も常に持っているが)
④2020年1月29日(水)
公庫の面接当日、上記の持参物を提出した。
通帳以外はそのまま渡せるコピーを持参して渡してそれで完了。
通帳は現物を預けて先方でコピー取ってもらってから返してもらった。事前にコピー取るのが面倒というのもあったが、どちらにしても通帳に関しては偽造抑止の観点でコピーより現物の方がいいらしいです。
資料の提出が一通り終わった後、面談を実施。
事前に提出した創業計画書に沿っていろいろ質問をうけてそれぞれ答えた。
今期の売上見込やその根拠や集客方法についての質問が多かった印象です。
その後、本社(自宅です)の実地確認も必要ということで、本社(自宅です)に来てもらった。
私が先に帰って、後から公庫の方がくる形でした。
一瞬だけ見てすぐ終了でした。もっとゆっくりしてもらってもよかったのに。
⑤2020年2月3日(月)
郵送で融資決定の書類が届いた。
その中に入っている借用証書などの契約書に、指示通り署名や捺印を行った。
後日、それを返信用封筒にいれて返送した。
返送した書類は以下
・借用証書(署名捺印後、指示された金額の収入印紙貼り付けも必要)
・借入保証の同意と借入金送金先口座の指定
・個人情報の同意書
・返済の口座振替届(自社の署名捺印の他に、金融機関の印も必要)
・法人の印鑑証明書
⑥2020年2月14日(金)
指定した川口信用金庫の口座に借入金が振り込まれました!
割と早い方だと思います。
特に最近はコロナの影響で公庫の職員さんは多忙なので、今はもっと時間かかるかもしれません。
(おまけ)創業関連の用語の整理
ところで、起業と言ったり、創業と言ったり、開業と言ったり、いろんな言い方がありますよね。
ちょっと自分なりに整理してみました。
起業・・・事業を起こすこと。
その担い手は起業家。
創業・・・起業とほぼ同じ意味。
その担い手は創業者。
ちなみに創業家(そうぎょうけ)だと創業者一族の意味。
起業と違って過去のことにも使える。
(創業●年とか、この会社の創業者は●●さんですとか)
開業・・・原則として個人事業での起業のこと。
代表者は「個人事業主」で、組織全体は「個人事業者」といいます。
個人事業で開業するときに税務署に出す届けは「個人事業の開業届」。
でも「開業=事業を開く」なので法人に使っても間違いではないと思う。開業費という勘定科目もあるし。
独立開業・・・開業の中でも特に会社勤めだったのを辞めて初めて起業するニュアンスがある。
原則として個人事業での起業を指すが、文脈によっては法人での起業も含まれる。
独立起業も同じ意味。こっちは個人も法人も両方含む。
設立・・・法人での起業のこと。
法人設立とか会社設立とかいう。
個人の起業を設立とは言わない。
法人設立したときに税務署に出す届けは「法人設立届出書」。
法人を細分化すると会社(営利法人)と非営利法人と公法人に分かれる。
会社をさらに細分化すると、株式会社、合同会社、有限会社などがある。
創業融資・・・創業前後の事業者向けの融資のこと。
法人(会社など)と個人(個人事業主)の両方が対象。
融資をつけるには創業が一番しっくりくる。
起業融資とか開業融資とはあまり聞かない。
企業・・・企業というと「法人」その中でも特に「会社」というニュアンスがあります。
でも正確な定義では、法人全般(非営利法人含む)と個人事業主までも含めて企業というそうです。へー。
終わりに
今日は日本政策金融公庫の「新創業融資」について、自社の体験談を中心に書いてみました。
また後日にもう少し一般的な、「新創業融資」を成功させるポイントとか、創業計画書の書き方とか、そういったことを解説しようと思います。
弊社では川口市中心に「創業まるごと安心サービス」を実施しております。
コロナがもう少し落ち着いたら定期的にセミナー開催も考えています。乞うご期待。
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