ものづくり補助金(第22次公募)⑤申請直前チェックリスト

第5回 申請直前チェックリストと最後の仕上げ
こんにちは、山崎コンサルです。
第22次公募の申請締切は、2026年1月30日(金)17:00です。
電子申請受付は12月26日からですが、実際にはそれまでの準備期間が非常に限られています。今回は、ブログシリーズの最終回として、「申請直前の重要チェックリスト」と「最後の仕上げのコツ」をお伝えします。
いつまでに何をすべきか~逆算スケジュール~
申請締切が1月30日ですので、逆算して考えると:
12月初旬~中旬(約2週間)
□ 事業計画の大まかな構想を完成させる
□ 補助対象となる設備の概略仕様を決定
□ 複数メーカーへの見積依頼を開始
対応しないと危険: このタイミングを逃すと、複数社からの見積回答が間に合わなくなります。
12月中旬~下旬(約1週間)
□ 各メーカーから見積書を回収
□ 市場調査・顧客ヒアリングの実施
□ 事業計画書の初稿を完成させる
対応しないと危険: この段階で事業計画書がまだ白紙の場合、後の段階で致命的に危険です。
1月上旬~中旬(約1週間)
□ GビズIDプライムアカウントの最終確認
□ 事業計画書の第2稿を完成
□ 専門家による第三者チェック
□ 修正・改善
対応しないと危険: GビズIDプライムの取得に問題がある場合、電子申請ができません。12月26日から電子申請受付開始しているので実際にログインして入力確認(下書き)を行いましょう。
1月下旬(2026年1月30日が申請締切)
□ 電子申請システムへの入力開始
□ 見積書・決算書等の添付書類の準備
□ 最終チェック
□ 申請実行
チェックポイント: 電子申請の各項目に、事業計画書の内容が正確に反映されているか、複数回確認してください。システム入力の過程で、誤った理解や不完全な記載が生じることがあります。
申請前の最終確認項目(100項目チェックリスト)
以下を、申請前に全てチェックしてください。複数名で確認することをお勧めします。
基本情報の確認
□ 会社名、住所、代表者名、連絡先が正確か
□ 従業員数が把握されているか
□ 業種分類が正確か
□ 前年度の売上高・利益が把握されているか
□ 前年度の給与総額(源泉徴収票等で確認可能か)
事業計画書の内容確認
□ 事業の背景について、市場環境の変化が具体的に記載されているか
□ 自社の課題が数値(現状値)で示されているか
□ 投資後の目標値が数値で示されているか
□ 会社全体の中長期戦略と、本事業がどう結びついているか説明されているか
□ 新製品・新サービスの定義が明確か(既存製品との違いが示されているか)
□ 革新性・差別化ポイントが客観的に説明されているか
□ 既存製品との比較表が含まれているか
□ 市場ニーズの検証方法が記載されているか(顧客ヒアリング、市場調査など)
□ スケジュールが月単位で示されているか
□ 各段階の責任者が明確か
□ 製品化後の営業・マーケティング戦略が具体的か
□ 販売チャネルが明確か
□ 3年間の売上予測が保守的だが現実的か
□ 3年間の利益予測が明確か
□ 投資回収期間が3年以内か(可能なら1年以内)
□ 自社の強み・弱みの自己分析が含まれているか
□ 競合他社との差別化が明確か
設備投資計画の確認
□ 導入予定の機械・システムの機種名が明確か
□ メーカー、型番、仕様が記載されているか
□ 複数社から見積を取得しているか(最低3社推奨)
□ 見積書に詳細仕様が記載されているか
□ 見積書の有効期限が申請後も保持されているか
□ 導入予定時期が明確か
□ 設置場所の確保が確認されているか
□ 既存設備との互換性が確認されているか
□ メンテナンス体制が整理されているか
□ 操作・保守要員の育成計画が立てられているか
□ 設備のサイズ・重量は建物の構造上対応可能か
□ 電源・給排水の対応が必要ないか(必要な場合、対応方法と費用が計上されているか)
経費関連の確認
□ 補助対象経費の総額が把握されているか
□ 補助対象外経費と区別されているか
□ 機械装置費が総経費の50%以上であるか
□ 補助率(1/2または2/3)が正確に適用されているか
□ 自己資金の調達目途が立てられているか
□ 見積金額に消費税が含まれているか(消費税は補助対象外)
□ 運搬費、設置費が適切に計上されているか
□ 従業員教育費が含まれているか
□ クラウドサービス利用費の利用期間が計画期間に含まれているか
□ 外注費が対象外工事(土建費など)になっていないか
賃上げ関連の確認(特例を使う場合)
□ 給与支給総額の過去3年間の推移が確認されているか
□ 3~5年の給与上昇目標(+2%または+6%)が達成可能か確認したか
□ 給与上昇の実装方法(基本給、昇給、手当など)が決定されているか
□ 現在の事業場内最低賃金者の時給が把握されているか
□ 地域最低賃金とのギャップが正確に計算されているか
□ 目標給与引上げが、企業の利益計画と矛盾していないか
□ 誓約書の内容を経営陣で確認したか
□ 目標未達成の場合の補助金返納リスクを理解しているか
その他の確認
□ 付加価値額の年平均成長率が3%以上の目標設定になっているか
□ 他の補助金との重複受給がないか(特に同じ経費の計上)
□ 過去にものづくり補助金で採択されている場合、類似・重複しないか
□ 不正受給のリスク(虚偽、証拠改ざんなど)を理解しているか
□ 採択後の報告義務(年1回の事業化状況報告など)を理解しているか
□ 補助事業実施期間内に事業を完了できるか(通常10ヶ月)
申請書類の準備チェック
電子申請時に必要な書類:
□ 前年度、前々年度の決算書(貸借対照表、損益計算書など)
□ 労働者名簿
□ 金融機関に発行してもらう資金調達確認書(全て自己資金の場合は不要)
□ 事業計画書の添付資料(最大3ページまで、PPT等で作成してPDF化)
□ GビズIDプライムのアカウント情報
□ 加点申請する場合はその資料(事業継続力強化計画認定書など)
電子申請システムの操作チェック
□ GビズIDプライムでjGrantsにログインできるか事前テストしたか
□ 各入力項目の文字制限を把握しているか
□ 添付ファイルのアップロード方法を理解しているか
□ 添付ファイルのファイル形式(PDF、Excelなど)が指定通りか
□ 添付ファイルのファイルサイズが制限内か
□ 入力内容の保存・修正方法を理解しているか
□ 申請ボタン(最終送信)と、一時保存の違いを理解しているか
最後の「詰め」~採択可能性を高める工夫~
締切が近づくと、ついつい「早く申請したい」という心理になりがちですが、ここが最も重要です。
複数名による校正
最低でも3人で確認してください:
- 作成者(例:経営企画担当者) ~ 全体の流れの確認
- 経営者・役員 ~ 経営方針との整合性の確認
- 外部専門家(税理士、行政書士、中小企業診断士など) ~ 補助金制度の知識に基づく確認
複数の目で確認することで、論理の飛躍や数値の矛盾が見えてきます。
事業計画書と電子申請の整合性確認
事業計画書はWordやPDFで作成し、その内容を電子申請システムに入力します。この過程で:
□ 文字制限により、内容が削減されていないか
□ 重要な数値が正確に入力されているか
□ 表や図が正確に説明されているか
具体性レベルのチェック
「なんだか曖昧だな」という感覚がある場合、それは審査員も感じます。
例:
❌ 「売上を増やします」→ ✅ 「令和7年1,000万円、令和8年1,600万円、令和9年2,400万円の3年累計5,000万円売上を目指します」
❌ 「品質を向上させます」→ ✅ 「現在の不良率3%を、AI検査装置導入により1%に低下させ、医療機器市場(高精度要求)への参入を実現します」
よくある申請ミス~「あるあるエラー」
最後に、申請直前に陥りやすいミスをお伝えします。
ミス1:消費税を補助対象にしてしまう
見積書の金額が「税込」の場合、消費税部分は補助対象外です。
正しい計算:
- 見積金額(税込):1,100万円
- 本体:1,000万円
- 消費税:100万円
- 補助対象経費:1,000万円(消費税は除外)
ミス2:補助対象外経費を含める
例:土地・建物改修費、既存資産の修繕など
ミス3:応募企業以外への贈答品や交際費が含まれている
申請書類の中に、営業活動の一環としての客先への手土産代などが経費に含まれていることがあります。これらは補助対象外です。
ミス4:複数の補助金に同一経費を申請
例:ものづくり補助金とIT導入補助金の両方に同じシステム構築費を計上
これは「二重受給」として返納請求を受けます。
ミス5:基本要件の見落とし
特に「新製品・新サービス開発」が含まれていない場合です。「設備導入による生産効率化」だけでは不採択になります。
~まとめ~
ブログシリーズの5回を通じて、ものづくり補助金の申請について、かなり詳細な内容をお伝えしてきました。
「これだけ準備が必要なのか」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、実は申請準備のプロセス自体が、経営計画を策定し、事業を構造化し、目標を明確化するという極めて重要な経営活動なのです。
補助金が採択されることも重要ですが、その過程で「経営の質」が向上することが、最大のメリットではないでしょうか。
ものづくり補助金の申請は、複雑です。
- 経営戦略の立案
- 市場分析と顧客ニーズの確認
- 設備投資計画の策定
- 財務計画の作成
- 補助金制度の知識の活用
これらを一社単独で完成させるのは、決して容易ではありません。
当社のものづくり補助金 申請支援サービス
【サービス内容(採択前)】
・「ものづくり補助金の申請書(事業計画書)」の作成と申請のサポート
・平行して加点対策として「パートナーシップ構築宣言」などの申請の推進
【サービス内容(採択後)】
・「交付申請」の作成と提出のサポート
・「中間報告」「実績報告」の作成と提出のサポート
・「確定検査」の対応に関するアドバイス
・「精算払請求」の提出のサポート
・補助金受領後6年間必要な「事業化状況報告」のうち初年度の報告をサポート
【コンサル料金】
・総額=補助金額の10%(税別)
それを以下の3回のタイミングでご請求いたします。
① 着手金:20万円
② 採択時成功報酬:補助金額の5%
③ 入金時成功報酬:総額から①②を引いた残金
※着手金は不採択時には全額返金します(お客様都合による中止や不備の場合は除く)。
※補助金額は最低500万円として計算します。補助金額500万円未満の場合で当社コンサル料金の計算では500万円に切り上げて計算いたします。つまりコンサル料金の最低額は50万円(税別)となります。
※補助金額が3000万円以上の場合は3000万円に切り捨てて計算します。

当社のものづくり補助金の申請支援実績としては、過去累計で12社をご支援して、10社が採択という実績です。100%とはいきませんが、高い採択率ではないかと思っております。
締切は2026年1月30日(金)17:00~迷ったら今すぐ相談を
本シリーズで、ものづくり補助金第22次公募について、基本から実務まで網羅的にお伝えしました。
「うちの会社も申請できそうだ」と感じていただけたなら、ぜひこの年度中にチャレンジしてください。次の公募は、来年度になる可能性が高く、そこまで待つ必要が生じてしまいます。
もしご興味・ご相談のある方がいらっしゃいましたらお問い合わせフォームからご連絡ください。
本ブログシリーズが、皆様の経営革新のお役に立つことを願っています。
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