事業再構築補助金の事例②

新型コロナの影響で市場規模が縮小した業界は多数ありますが、【クリーニング業界】もその一つです。「コロナになってからクリーニングに出す回数が減ったなー」と思い当たる方も多いのではないでしょうか? テレワークが増えるとスーツを着なくてよくなったり、そもそも外出自体も減るのでオシャレ着を着る機会も減ったりという感じですね。

当社の事業再構築補助金の事例紹介第2弾はクリーニング業のお客様の事例です。

群馬県伊勢崎市でクリーニング業を営む、社員数8名、年商約3千万円の会社です。
いわゆる普通のクリーニング屋さんですが、20年前に大改装してドライブスルー受付を備えたり、数年前に現在の2代目社長が就任してからはマーケティングに力を入れていて、近隣へのチラシや会員向けのダイレクトメールやLINE発信などを積極的に手掛けていました。

しかしコロナ影響で外出自粛やテレワーク勤務が進み、スーツ類を中心にクリーニング需要が大幅減少しました。業界全体がしぼんで苦しいなかで、近隣の競合店も廃業したのでむしろ会員数は増える効果はあったのですが、それでも売上高はコロナ前に比べて約2割の減少となりました。

一方、クリーニングに近い業界の【コインランドリー業界】は比較的堅調です。コインランドリーといえば以前は洗濯機を保有しない単身者・学生などが利用するイメージがありましたが、近年は機械の大型化や高機能化が進んで、毛布や布団などの丸洗いにも対応できる機械が増えています。現在はランドリー利用者の約7割が主婦層で、家庭洗濯機で洗えない大型洗濯物の利用に活用されています。

この社長は以前からコインランドリー店舗の出店は考えていたそうですが、そこに【事業再構築補助金】の制度ができたので、これは少ない自己負担で出店するチャンスということで、取り組みを進めることになりました。

当社と打合せを重ねながら2カ月かけて事業計画を作り込み、事業再構築補助金の第1回公募に応募しました。対象経費として店舗改装費やランドリー機械多数や広告宣伝費などで総額3千万円以上の投資を行うという事業計画でした。

2カ月後、採択発表がありまして無事採択に成功しました。この当時の通常枠の採択率は30%ほどでしたが、しっかりと採点基準を意識した事業計画書作りができていたことが成功のポイントだっと思います。

採択後もいろいろな調整で時間がかかりましたが、ようやく2022年5月末に念願のコインランドリー店舗の出店が実現できました。計画では月間50万円の売上を目指していましたが、実際にはそれをはるかに超える水準で順調に売上を重ねている状況です。

出店完了後、補助金の実績報告手続きを進めて、何度も細かい差戻しを受けてけっこう苦労はしましたが、最終的に2022年11月に目論見通りに2千万円強の補助金を受領できました

これにより補助金差引き後の自己負担額は1千万円強で済み、そして新事業の売上・利益も順調に上がっている状況なので、すぐ回収はできそうです。さらに、ようやくコロナも終息傾向にあって本業のクリーニング店も売上が戻ってきており、現在はとても明るい状況です。

以上、事業再構築補助金を活用してコインランドリー店舗出店を成功させた事例を紹介しました。

こういう例を紹介すると、コインランドリー店舗出店で多額の補助金が得られるなら我が社もやりたいと思われる方もいると思いますが、一つ注意点があります。

事業再構築補助金には審査があります。新事業でコインランドリー店舗出店というのは、かなりありふれた内容になるので、単純にコインランドリー店舗を出店するというだけだと審査で高い点が得られずに不採択になる可能性が高いです。

例えば既存事業で培ったノウハウが活かせるとか、既存事業との相乗効果がある、または新事業に何か目新しさと有望さを兼ね備えたコンセプトがある、というようなポイントがあればあるほど採択の可能性は高まります。そういう要素がないと厳しいと思われますので、ご注意ください。

本日は以上です。また時間があるときに事例紹介第3弾を作ろうと思いますのでよろしくお願いいたします。