事業再構築補助金について

コロナ対策

事業再構築補助金は、令和2年度第3次補正予算によって令和3年度から新設される見込みの新しい補助金です。中小企業がコロナ禍でも事業存続を図るために事業再構築(事業転換)を行う取り組みを補助金で支援してくれるものです。まだ公募は始まっておらず詳細は不明点が多いですが、現時点で分かっていることを整理します。

概要

以下の画像が、経済産業省/中小企業庁が公開しているPR資料です。
元ページへのリンクは以下です。(このページの「中小企業等事業再構築促進事業」です)

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/

この公式のPR資料の冒頭には「ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための企業の思い切った事業再構築を支援」と書いてありますね。

最大の注目ポイントは、中小企業の通常枠でも最大6,000万円、その他の枠では条件を満たせば最大1億円の補助金が受けられるという金額の大きさです。従来から人気がある「ものづくり補助金」は最大1,000万円ですから、桁違いに大きな補助金であることが分かります。

この資料内に概要は書いてあるというか、逆にこれ以上の情報があまりないのですが、推測も含めて下記でいくつか補足説明してみます。

対象条件

PR資料には3つの条件が書いてあります。
おそらく3つとも満たす必要があると読み取れます。

1.申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等。
2.事業計画を認定支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業等。
3.補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成。

1番目の売上減少要件が厳しいですね。6ヵ月中の任意の3ヵ月で計算してよいようですが、一貫して成長傾向の企業ではどうにもならないです。これがネックで申請したいのにできない企業も出てきそうですね。

2番目の認定支援機関は、ものづくり補助金でも昔はあった条件で今はなくなりましたが、この事業再構築補助金で復活しましたね。なお当社代表は認定支援機関の資格を持っていますので、当社でのご支援は支障ありません。
また、「事業再構築」に取り組むという条件があります。事業再構築の例は、前述のPR資料の2枚目を参照ください。これについてはもう少し詳しい条件や例も今後出てくると思います。

3番目はものづくり補助金とほぼ同じ条件です。これは何とでもなると思います。

補助額・補助率について

【事業再構築補助金】は、企業規模、取組内容に応じて補助金額・補助率が4つのパターンに分かれています。

(1)中小企業(通常枠)
※もっともノーマルな通常枠です。なお中小企業の定義は「中小企業基本法と同様」と記載されています。これは業種によって細かく規定されていて一言では書けないですがかなり広範囲の企業が中小企業の枠に収まります。
補助金額:100万円以上6,000万円以下
補助率 :2/3

(2)中小企業(卒業枠)
※計画期間内に 、「組織再編」「新規設備投資」「グローバル展開」のいずれかにより、資本金又は従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠
補助金額:6,000万円超1億円以下
補助率 :2/3
採択企業数:経済産業省の別資料によると400社限定

(3)中堅企業(通常枠)
※中堅企業の定義は不明ですが、おそらく中小企業よりは大きくて、資本金が10億円以下というところだと思います。
補助金額:100万円以上8,000万円以下
補助率 :1/2(4,000 万円超は 1/3)

(4)中堅企業(グローバルV字回復枠)
補助金額:8,000万円以上1億円以下
補助率 :1/2
採択企業数:経済産業省の別資料によると100社限定
以下の要件を全て満たす中堅企業向けの特別枠です。
1)直前6ヶ月間のうち売上高の低い3ヶ月の合計売上高がコロナ以前の同3ヶ月の合計売上高と比較して、15%以上減少している中堅企業
2)事業終了後35年で、付加価値額又は従業員一人当たり付加価値額の年率50%以上増加 を達成すること
3)グローバル展開を果たす事業であること

対象経費

PR資料には以下のように書いてありますね。

建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)等が補助対象経費に含まれます。
【注】補助対象企業の従業員の人件費及び従業員の旅費は補助対象外です。

これはものづくり補助金の対象経費と似ていますが、ものづくり補助金と違って「建物費、建物改修費」を含められるのが特徴的だと思いました。

あとものづくり補助金では不可だった「研修費(教育訓練費等)」も含められますね。同様にコロナ型のみで限定的に可能だった「広告宣伝費・販売促進費」も普通に含められるみたいです。

従業員の人件費が入れられない点はものづくり補助金と同様です。

ものづくり補助金との比較

「ものづくり補助金」との違いを表形式でまとめてみました。

ものづくり補助金事業再構築補助金
応募条件売上減少要件は特にない売上高10%以上減少が必要
補助金額通常枠は最大1,000万円
グローバル枠で最大3,000万円
通常枠(中小企業)は最大6,000万円
他の枠では最大1億円のものもあり
補助率小規模企業は2/3、それ以上の中小企業は1/2中小企業全般で2/3、中堅企業は1/2(一部1/3)
認定支援機関の関与特に必須ではない認定支援機関の関与が必須(と思われる)
取り組み内容の条件革新的な商品やサービスの開発、
または生産方法や提供方法の改善を伴う、
取り組みが対象
経産省が⽰す「事業再構築指針」に沿った
取り組み
が対象
事業計画の条件付加価値額の年率平均3.0%以上増加
給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
(加点を受けるには年率平均3.0%以上増加)
付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加
対象経費機械装置(設備)・システム購入、外注費など左記に加えて建物費や建物改修費なども対象

まとめ

採択率がどのくらいになるのかはまだ予想でしか言えません。
経済産業省の資料によると予算として1兆1,485億円を取っているそうです。おそらく1年分ではなく数年かけて使うみたいですが、それでも毎年数千~1万社くらいの採択数があるのではないでしょうか。ものづくり補助金より申請のハードルが高そうなので申請数は年間で1万社もあるかどうかと予想します。そうすると採択率は結構高いのではないと個人的には予想しています。(あくまで個人の予想です、保証はできません)

しかも例年どの補助金も、年度が始まってすぐの最初の募集回が一番採択率が高くなる傾向があります。


この事業再構築補助金の募集開始時期は未定ですが、おそらく早くても3月頃、遅くて4月頃からと予想しています。
もし事業構想にこの補助金が使えそうな経営者さまがいましたら、1回目の募集への応募のためには今からでも準備をしてスタートダッシュを決めたいですね。もし興味ありましたらお問い合わせください。

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