会社設立ものがたり①

今後、コンサルタントとして創業・起業を希望する方へのアドバイスを行う機会があるかもしれません。

私自身がサラリーマンを辞めて、独立コンサルタントとして活動するための「山崎コンサル株式会社」を設立したときの経緯を、備忘録として記録します。
全部書くのは相当な長文になるので、何回かに分けて少しずつ小出しで書いていきます。

まず第1回目は会社形態について。
個人が起業を志したときの事業の形態の選択肢は大きく分けて3つあります。
(厳密にいうとこの他にもマニアックな形態がありますが、まずメリットがないのでこの3つに絞ります)

事業の形態の選択肢

①個人事業主
②合同会社
③株式会社

メリットデメリットを表にすると下記の通りですね。

個人事業主合同会社株式会社
初期費用0円約6万円
(電子定款の場合)
約20万円
(電子定款の場合)
最低の年間費用0円法人住民税が7万円
法人住民税が7万円
※その他に決算公告費用が必要
社会保険の加入について個人で国民健康保険と国民年金に加入する義務がある法人として健康保険と厚生年金保険に加入する義務がある
(しかもサラリーマンと違って会社負担分もあるので2倍の費用)
法人として健康保険と厚生年金保険に加入する義務がある
(しかもサラリーマンと違って会社負担分もあるので2倍の費用)
対外的な信用力弱いやや弱い強い

社会保険の加入について

どの形態を選んでも何らかの社会保険に加入する必要があります。
今までのサラリーマン時代は選択の余地もなく厚生年金保険(と健康保険)に加入でした。
ただサラリーマンの場合は、会社側が半分負担してくれていたので、自己負担は半分でした。
それでもかなり高くて、負担感は感じてましたが・・・

独立起業して自分で会社を設立した場合は、両方を負担することになります。
従来の2倍です! これは痛い。

じゃあ個人事業主の方が負担が軽いのかなと思って調べたところ、
まず国民年金が月16410円でした。これは従来の厚生年金保険の自己負担よりも安い水準。
しかし国民健康保険がバカ高くて、私の場合はだいたい月5万円以上になる計算でした。
正直、私は健康で病院に行くこともほとんどないし、5万円払うのも割に合わないのだが、
加入は義務なので加入しないという選択肢もない・・・

業種によっては国民健康保険よりももっと割安な健康保険組合というのに加入できるそうだが、
私が目指すコンサルタント業だと適切なものがなかったです。

それなら、会社設立して厚生年金に加入する方がまだマシではないかと。
普通に会社から私への給与をまともに払うと、会社負担分も含めて従来の倍の負担になってしまうので、
あえて、給与を抑えることで、保険料を安くする。
基本的にはそのスキームで考える。
ただし会社の利益を出しすぎても法人税がかかるし、それを個人で自由に使えるわけでもない。

調べたところ、「事前確定届出給与」というのを使って、
月額の給与を抑えめにして、年1回の賞与を厚くすると、
保険料を抑えることができることが分かりました。
「事前確定届出給与」について興味がある方は、ここで詳しく書ききれないので別途調べてみてください。

株式会社か合同会社か(年間費用での比較)

前述のとおり、個人事業主は国民健康保険の負担が重くて面白くないし、
コンサルタントとして企業からの受注を取るための信用力という面を考えても、
会社設立の方向に考えが進みます。

株式会社か合同会社かで比較すると、
まず毎年の費用としては、法人住民税の固定分が年7万円かかります。

そのほかに、株式会社は決算公告が必要です。

私も今回の設立に向けて調べるときまでよく知らなかったでしたが、
実は株式会社って、たとえ上場をしていなくても毎年の決算を公開する(公告)という義務があります。

ちなみに合同会社は決算公開の義務がないです。
合同会社は株式会社の簡易版みたいなイメージで、昔の有限会社に近いイメージですね。
平成18年(2006年)の会社法改正で、その前からある有限会社は存続できますが、新規での設立ができなくなりました。
その代わりみたいのが合同会社です。ざっくりいうと。
合同会社は本来は小さい会社向けですが、外資系の日本法人とか、芸能事務所とか、
かなり規模の大きい会社でも合同会社にしているところがありますな。
これは決算公開を回避する狙いらしいです。

さて株式会社の決算公開の話に戻って、
公開する手段として、まず官報(紙媒体)への掲載がありますが、これは約6万円の費用がかかります。
毎年6万円ずつの費用がずっとかかることになります。

官報以外の手段としては、電子公告があります。
例えばインターネット上の自社ホームページに掲載して公開します。これなら6万円の官報掲載料は不要です。
そういえば、大手の企業なんかは自社ホームページに決算公開してますね。

しかし私のような零細企業が自社ホームページで決算を公開するなんてなんか嫌です。
調べたところ、クラウド会計ソフトで有名な freee に決算公告サービスというのがあり、これが年間3980円でした。
ここにひっそり出すなら目立たなくていいですね。費用も6万円の官報よりはるかに安い。

と思ったのですが、さらに調べたところ、電子公告はURL直打ちでしか開けないような隠しページでもOKとのこと。
それなら自社ホームページに隠しページを作れば、年間3980円のサービス料すらも節約できる

ということで、結論としては年間費用に関しては株式会社も合同会社も同じ年7万円という計算になりました。

株式会社か合同会社か(初期費用での比較)

初期費用については、当然ながら4万円の印紙税がかからない電子定款を選択するとして、
それでも株式会社で20万円、合同会社で6万円の初期費用がかかります。

実務的には合同会社でもいいのですが、
やっぱり対外的な信用力として株式会社のほうが響きがいいです。

14万円の差については、もし今後14年間存続するなら、
1年あたり1万円という計算。

信用力の差を考えればこれくらい安いものです。
結論は、私は株式会社を選択することにしました!

それに、株式会社なら「代表取締役社長」を名乗れるけど、
合同会社だと「代表社員」という肩書で、響きが違うので。

本日はここまで。会社設立ものがたりの続きはまたいつか。