事業再構築補助金の実績報告のノウハウ集①

当社は事業再構築補助金の申請支援を多く手がけていて、すでに複数の会社で実績報告の承認(補助金確定通知)や補助金入金まで進み、ノウハウも溜まってきました。

応募申請のノウハウを公開するコンサル会社は多いのですが、実績報告のノウハウはあまり世に出ておらず、私も情報が欲しくて検索して探すのですが全然出てこない状況です。

そこで経験・実例から得られた実績報告のノウハウを少しずつ公開してみたいと思います。公式の手引きやマニュアルに記載されている内容についてはそちらを見て頂くとして、それらには書いていないことを公開しますので、そのつもりでご覧ください。

承認までは3ヵ月くらい(ただしそれ以上の場合も)

時期によると思いますが、現時点の最近の傾向としては、実績報告書の提出から承認(補助金確定通知の受領)までがだいたい3ヵ月くらいです。

まず提出してから1ヵ月以上は放置されます。おそらく未処理のものが溜まっていてそれがはけないと自分の順番が回ってこない運用になっているようです。ようやく順番が来て担当者がついたら内容がチェックされて不備が指摘されます。なお交付申請のときは不備の連絡がすべて電話で口頭で伝えられますが、実績報告の不備についてはJグランツの差戻コメント欄に文章で記述されます。こちらの方が分かりやすいですね。不備の内容によってはJグランツの差戻の前に先に電話でも連絡が来ることもあります。

内容のチェックは何段階かにわたって行われるようで、そのつど不備の指摘が来ます。かなりしっかり作った実績報告書であっても1~2回の差戻しは覚悟必要ですし、出来の悪い実績報告書だと4回も5回も6回も差戻しがくるという展開になると思います。差戻しが多いと期間も長くなってきます。

当社が支援しているお客様の中で最短は2カ月弱、平均は3ヵ月前後というところです。でも差戻しが多いと4か月以上かかるかもしれません。

実地検査は来ない

公式の手引きやマニュアルには、実績報告書の作成と提出の後に「実地検査」という手順が書かれていて、その説明には「必要に応じて、事務局の検査員が補助事業実施場所へ出向き、証拠書類、補助対象物件等を検査します。」と書かれています。ものづくり補助金で言うと「確定検査」に相当しますね。ものづくり補助金では必ず来ます。

ただ、事業再構築補助金の「実地検査」は「必要に応じて」という記載だったので来るのかどうか微妙な表現だと思っていたのですが、いまのところ私の支援先では全て実地検査は来ずに補助金確定通知が来ているので、基本的には実地検査は来ないものと思って大丈夫そうです。(もし来たよという会社があったら教えてください)

事務局の対応は丁寧

ものづくり補助金の実績報告書を審査する事務局の方は、個人差はありますがおおむね上から目線で感じ悪いなと思うことがよくあります。

それに比べて事業再構築補助金の応対をされる担当の方はみなさん丁寧で感じよいなと思います。規則はありつつも、事業者に寄り添って代案を提案してくれたり、親身に考えてくれる感じがあります。あとはこれでもっと対応待ち期間が短くて済めば言うことないのですが・・・。今後の運用改善に期待したいところです。

証拠書類は全て必要

実績報告書には、発注先から受領する見積書や注文請書や納品書や請求書や、こちらから発注先に出す注文書や検収書など大量の証拠書類を全てPDFにして提出する必要があります。

補助金関係ない通常の取引では、よほど高額のものでもなければ注文請書や検収書など作る習慣はなく省略して取引を進めるかと思いますが、補助金事務局にはそんな常識は通用しません。手引きやマニュアルで提出必要と書かれている書類は全て提出必要です。実務的に必要ない書類であっても補助金報告のためにわざわざ作成してください。

どうしても作成できない場合は、「理由書」というタイトルで理由を書いて添付すれば、なくても認められる場合があります。ただわざわざ「理由書」を作るくらいだったら各書類を作った方がスムーズだと思います。

書類の印鑑はなくて大丈夫

前述の証拠書類の各書類には社印や担当者印はなくても問題ないです。もともと法的にはそういうものですし、これについては事業再構築補助金の事務局もそれに沿った対応をしてくれてよかったです。

管理番号の記入は電子でもOK

手引きやマニュアルに書かれている通り、各証拠書類には右上あたりに「機-1」とか「建-1」とかの管理番号を手書きで記入してからPDFにすることが求められています。

もちろん手書きで記入してからPDFでもOKですが、もし記入前にPDFにしてしまっている場合などは、PDFファイルに電子的に注釈コメントを直接入れる形でもOKです。無料のAcrobatReaderでもそのくらいはできますし、私は有料のもっと高機能で使いやすいソフトを使っています。

私のような事業者の支援をしている立場からすると、こういう書類の整理については事業者に逐一説明してやってもらうよりも、こっちで整理のお手伝いをしてしまった方が圧倒的に早くて効率的なので、電子での記入でもOKというのはとても助かります。

識別シールは必須

マニュアルの4ページ目などに記載の通り、補助金で取得した資産には識別シールを貼って、その写真を撮って<参考様式17>の書式に貼り付けて提出する必要があります。

「建物費」、「機械装置・システム構築費」、「広告宣伝費(配布物以外)」については基本的に必須です。

例えばすごく大きい建物だとどこに貼ればいいのか迷うところですが、入り口付近などどこか代表的なところに1か所貼ってそれを写真に撮ればいいようです。

ホームページ作成など電子的な納品物にはシールを貼りようがないですが、例えばホームページであればどこかに「令和2年度第3次補正事業再構築補助金により作成」の文言を入れて、その部分のスクリーンショットを撮ればいいです。

シールの中に所定の文言が書かれているかどうかも事務局のチェック対象なので、引きの写真だけだと不十分で、引きの写真とシール(or文言)のアップの写真と両方セットで提出しましょう。それによって<参考様式17>のページ数が増えても問題ないです。多い分には問題ないので差戻しの可能性を減らすためにはなるべく多めに写真を入れておきましょう。

なお、どうしてもシールを貼ることも文言を記載することもできない事業がある場合は、<参考様式17>の書面の中にその理由を書けば認められると思います。このときも、書かなくても常識的に伝わるだろうみたいな基本的なことであっても、しっかり書くことが重要です。とにかく詳しく書いておいた方が、後で差戻しになる可能性を減らせます。

「広告宣伝費」のうち配布物(ポスター・チラシ・パンフレット等)は、当該配布物に「令和2年度第3次補正 事業再構築補助金により作成」の表示が必要です。これも引きの写真とアップの写真を両方出しましょう。

配布物以外の広告宣伝費の納品物も基本的に同様の対応が必要です。私の支援先でも、看板に記載がなかったり、動画に記載がなかったり、そういう理由で差戻しが多々ありました。「R2 事業再構築 (管理番号) ※事業再構築補助金事業以外での使用禁止」または「令和2年度第3次補正 事業再構築補助金により作成」のどちらかのシールまたは表示が必要と考えておいた方がいいでしょう。

(最悪、差戻しされてから対応でもいいのですが、差戻しの回数が多いほど期間が長くなります)

本日は以上となります。
また判例が溜まってきたら続編を公開したいと思います。