事業再構築補助金の事例①

当社は事業再構築補助金の申請支援を多数手がけて、現在まで24社の申請支援をしています。そのうち早い段階から進めた会社が補助金入金まで進んできましたので、その事例紹介を少ししていきたいと思います。

本日は、金属部品加工業のお客様の事例です。

社員数4名、年商3千万円の会社で、5台のNC旋盤やマシニングセンターを保有しており、航空機に使う金属部品の加工依頼を受けて作業して納品する仕事がメインです。しかしコロナ禍で航空業界の売上は激減し、それによりボーイング社などの航空機会社も受注キャンセルなどをうけて大幅な生産縮小をすることになりました。その波及で、この会社も加工依頼が激減(ほぼゼロ)になるという大打撃を受けました。

一方、半導体業界はコロナ禍でも需要は旺盛で、ある半導体装置メーカーから増産対応のために部品製造の依頼の打診を受けました。ただ半導体装置の部品は航空機部品よりもさらに精度の高い加工が必要で、この会社の既存の設備でも100分の1度クラスの加工はできるのですがそれでも足りません。

半導体業界に進出するためには、もっと精度の高い高額な加工機の購入が必要です。具体的にはヤマザキマザック社の5軸複合加工機という超高額な加工機の導入が最適と判断しました。これを使えば10000分の1度クラスの精密加工が可能になります。ただし、加工機本体に加えて関連する工具類や電源工事も合わせると3千万円以上の高額投資が必要になります。年商3千万円の会社にとって相当な投資です。

そこで事業再構築補助金の申請をすることになりました。申請が通れば購入額の3分の2の補助金を受け取ることができるためです。当社が支援をしながら申請をした結果、無事採択されて、その後の手続きも順調に進み、そして今月頭に購入額の3分の2(2千万円以上)の補助金が振込されました

購入した加工機を活用して半導体業界向けの仕事もすでに開始しており、このまま順調にいけば補助金差引後の正味投資額は数年で回収できそうです。まさに事業再構築補助金の最適な活用といえると思います。

このように事業再構築補助金は数千万円規模の補助金が得られる制度ですが、注意点があります。

それは、取り組み開始してから補助金入金までだいたい1年半から2年くらいの期間を要することです。この会社の実例で日付を書いていくと以下の通りです。

・2021年5月から事業計画作りに着手
  ↓
・2021年6月末に応募申請完了(第2回公募)
  ↓
・2021年9月に採択を確認
  ↓
・2021年9月末に交付申請を提出
  ↓
・2021年10月に交付決定
(注:このときは提出から1ヵ月で交付決定が出ましたが、現在は早くても2カ月、差戻しが複数回あると3ヵ月以上要します)
  ↓
・2022年6月末に発注した機械の納入が完了
  ↓
・2022年7月26日に実績報告書と証拠書類を揃えて提出
  ↓
・2022年9月22日に承認されて確定通知を受領
(注:差戻しが1回で済んだので2ヵ月で承認されましたが、差戻しが複数回あるともっと期間を要します)
  ↓
・2022年9月26日に精算払請求を提出
  ↓
・2022年11月2日に補助金が入金された

このように1年半の年月がかかりましたが、これでもかなり順調な方で、平均的にはもっと期間を要すると考えて頂いた方がいいと思います。ご注意ください。

今回は以上です。このように当社が支援した事例を、今後順次紹介していくつもりです。

また、実績報告の注意点なども、今後小出しに発信していこうと思います。時間があるときに作りますのでお待ちください。